東京都子供・若者計画(第二期)(案)のパブリック・コメントを送りました

今回送ったのは、東京都都民安全推進本部が募集していた「東京都子供・若者計画(第二期)(案)」への意見です。意見募集期間は2月21日~3月21日でした。

https://www.tomin-anzen.metro.tokyo.lg.jp/jakunenshien/tyousa-keikaku/kowaka-keikaku/pub/index.html

 

「東京都子供・若者計画」とは、子ども・若者育成支援推進法第9条に基づく都道府県子ども・若者計画として作られます。

「不健全図書の指定」をおこなっている都民安全推進本部という部署が「東京都子供・若者計画(第二期)(案)」の取りまとめをおこない、パブリック・コメント募集を実施しました。「不健全図書の指定」について意見を言える機会というわけです。

もちろん、意見は日頃、いつでも送ってかまわないのですが、パブリック・コメント募集の時に意見を送れば、意見が政策に反映されるかもしれないチャンスなのです。

 

このあと、パブリック・コメントを受けて答申が決定(「東京都子供・若者計画(第二期)」が完成)する予定とのことです。

 

私が送ったパブリック・コメントは以下のとおりです。

 

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基本計画全体について
本計画の期間は令和2年度から令和6年度までの5年間とされる。
これからの5年間の計画としては、時代に即しているとはいえない、古い手法、非合理的な内容と見受けられる取組がある。
令和2年3月16日の東京都議会総務委員会での答弁によると、基本計画の内容は期間の途中で一旦見直すとのことであるが、取組の効果を測定し、効果的な取組を把握し、内容を適宜見直していくべきである。


P31
3-(4)社会生活において必要な知識の付与
犯罪被害の防止のための普及啓発等
◆女性に対する犯罪の防止対策
「DV・ストーカー、痴漢、盗撮等の被害防止に向けて、~」とあるが、これらの犯罪被害に遭うのは女性とは限らない。
誰もが加害者にも被害者にもならないことがのぞましい。「女性のみ」に「被害防止の注意喚起のみ」を行うのは偏っており、合理性がない。性別を問わずすべての人に、してはならない行為を啓発することが適切である。


P43
【6 非行・犯罪に陥った子供・若者への支援】
<現状・課題>
「○ 都内における刑法犯少年の検挙・補導人員は、過去10年間の推移でみると減少傾向にありますが、14歳未満は横ばいであり、全体に占める割合が大きくなっています。」とある。犯罪が減少傾向にあるのはのぞましいことである。件数の推移が大事な情報であり、概要を示す客観的データを掲載するべきである。


P72
【3 子供・若者の福祉を害する犯罪対策等】
(1)児童ポルノ
「○ 児童ポルノ事犯の検挙状況は増加傾向にあり、これに伴って被害児童も後を絶ちません。特に、当該事犯の約半数が性に対する判断能力が形成途上であることに付け込まれた児童が被害に遭うなど、憂慮すべき事態に至っています。」とあるが、「当該事犯の約半数が性に対する判断能力が形成途上であることに付け込まれた児童」とは客観的な事実なのか。
もし本当にそうなのであれば、事態の改善に向けて、積極的に性教育の充実をはかるべきである。

P72
【3 子供・若者の福祉を害する犯罪対策等】
(1)児童ポルノ
「○ 児童ポルノの画像が一旦インターネット上に流出すれば、コピーが繰り返され、その削除は事実上不可能であり、被害に遭った児童の苦しみは将来にわたって続くことになります。」とある。
東京都が「削除は事実上不可能」といった、救済は不可能であるというような、被害者を突き放すようなメッセージを発信することで、被害者は「相談しても解決しない。相談しても無意味だ。」と受け取り、相談から遠ざかりかねない。
被害者に絶望を与え、相談から遠ざけるようなメッセージを発信することや、そのような認識に基づいて事業に取り組むことは避けるべきである。


P95
第4章
1都における計画の推進体制
(2)東京都青少年健全育成審議会
「知事が青少年に有益な映画、演劇、がん具類及び図書類を推奨し、又は不健全なものを指定し、若しくは有害広告物に対する措置を命じようとするときに意見を聴くこととなっています。」とある。
この項目の記述は、東京都条例の文言を参考に書かれたと思われるが、「青少年に有益な映画、演劇、がん具類及び図書類を推奨」とあるが、現実的ではない。
例えば、演劇の推奨を行うには、審議委員が公演を鑑賞し、審議会を開催して承認し、告示に至るまでに時間がかかる。公演期間が長い演劇は数が多くないため、演劇の推奨は実効性に無理があり、基本計画に記載するにはふさわしくない。また、条例の文言にある「演芸」と「見せもの」を省いており、恣意的な記述である。
また「不健全なものを指定」は条文を逸脱し範囲を無制限に広げており、明確に誤りである。
したがって、この項目の記述は不適切である。

東京都青少年の健全な育成に関する条例は制定も古く、時代に即していない内容でもあり、また、本当に青少年に資する内容であるのか、効果は不明である。実効性に無理がある条文もあり、本来は条例の見直しが必要である。

令和元年度の東京都青少年健全育成審議会の審議事項は優良映画の推奨、不健全図書の指定であり、また環境浄化活動の報告をおこなっているのが現状である。

以上のことから、この項目の記述は、第1期基本計画の記述「知事が優良図書類等の推奨や不健全図書類等の指定等を行う際に意見を具申します。」に戻すことが適切である。


パブリックコメントについて
令和2年3月16日の東京都議会総務委員会での答弁によると、子供若者当事者の声を聴く取組として、パブリックコメント募集のチラシを都内の施設に配付したとのことであるが、あいにくの感染症対応による学校休業でチラシの効果があまり期待できないかもしれない。しかし、これは良い取組であると評価できる。チラシの配付にかかった費用について、青少年問題協議会において報告してほしい。


以上