2020年3月19日 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 藤末健三議員の質問より 「ゲーム依存症対策について」文字起こし

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)についてのブログ更新です。

3月18日(水)香川県議会本会議最終日において香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)案は提出・採決され、賛成多数で可決されました。

賛成 22(自民県政会・公明・無所属)

反対 10(共産・自民議員会)

棄権  8(リベラル香川)


3月17日にパブリックコメントの件数、意見(概要)、意見に対する考え方が公表されました。

現在、全文の公表が求められています。

 

 

さて、今回書き起こすのは2020年3月19日参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会の藤末健三参議院議員の質問と答弁です。

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

 

このブログ記事は、正式な会議録が公開されるまでの間に急ぎ必要な人のための文字起こしです。正式な会議録が公開されましたら、そちらをご利用ください。

 

当然ながら、これは正式な会議録ではないので、ご利用は自己責任でお願いします。

 

 

 

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●藤末健三議員

次のテーマに移らせていただきます。

昨日ですね、ネット・ゲーム依存症対策の条例というものが香川県で決まりました。

これの条例とは関係ないんですが、一般論として、ぜひ衛藤消費者担当大臣にお聞きしたいんですが、一般的に消費者保護の目的で商業活動にいろんな制限をかけているわけでございますけれど、そういう制限を行う際に、適切な科学的根拠があることがですね、科学的根拠がないで規制することは難しいんじゃないかと思うんですが、そういう適切な科学的根拠があることが必要不可欠であると、私は思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

●衛藤大臣

ご指摘のとおりですね、行政を進めるうえで取組の効果測定に必要な重要データを十分にふまえる必要があります。消費者庁においてもですね、製品や食品に表示等に関する行政処分を検討する際にはですね、適切な学術的証拠論文を確認するなどいたしております。

そしてまた、消費者行政にかかる施策や制度を検討する際にはですね、消費者基本計画に明記されているとおり、効果把握のため客観的な指標の推移などを把握することという具合にいたしております。

 

●藤末健三議員

衛藤大臣ありがとうございます。

やはり、いろんな基本的人権的なものを規制するときには、科学的な根拠をきちんと証明しなきゃいけないと。これ当たり前の話だと思いますが、昨日、新聞等にも載っておりますけれども、香川県におきまして、ネット・ゲーム依存症条例というのが可決されました。

この条例、大きく二つの問題点があると考えておりまして、一つは最終的には目安ということに修正されましたけれど、一日子どもたちがゲームをする時間、平日は60分、休日は90分以内というような制限をですね、かけようという動きがございました。

で、この60分、90分という根拠があるかといいますと、根拠はないような状況でございまして、これはほかの委員会におきましても山田太郎委員などが厚労委員会(内閣委員会?)などで質問しまして、実際にこの科学的な根拠あるかと聞きますと、ないということになっております。

そしてもう一つございますのは、この条例、非常にですね、閉ざされたところで議論がされているということがございます。

何かと申しますと、この県議会におきまして、検討委員会、条例の検討委員会というのが設置されましたが、なんとこの検討委員会は議事録がありません。そして、傍聴がない。記者会見も記者しか入れないという状況で進められたと。

そしてまたパブリックコメントがなされたわけでございますが、このパブリックコメントは、通常一か月なんですね。それがなんと、何の手続きもなしに半分に減らされ、そしてパブリックコメントができるのも、今までは全国できたわけですけれども、香川県民だけ、そして関係事業者だけとなっております。

そしてまたありますのは、パブリックコメントの調査の結果ですけれども、なんと昨日、採択したあと、採決が終わったあとに、検討委員会のメンバーだけに開示され、そして、検討委員会のメンバーもこれを口外しちゃいけませんよというふうになっているということでございまして、非常にですね、内容が公開されていない、さまざまな議論が入っていないような状況ではないかと思っております。

私自身もこのネット依存症、またゲーム依存症についてはしっかり取り組む必要があるとは考えますけれど、一律にですね、科学的根拠もないまま規制していくような問題、これは表現の規制にもつながると私は考えておりまして、このようなものが、他の自治体にですね、広がっていくんではないかということを非常に懸念しております。

そういう考え方に基づきまして、まず総務省に対してご質問をしていきます。

このような条例は憲法の94条、憲法に基づくものでございまして、この94条によりますと、法律の枠内において、地方公共団体が策定できると書いてあります。

逆にいうと該当する法律がない場合には、先行して条例を作っていいんですよというふうに解釈されるわけでございますが、たとえば国が、たとえばゲーム依存症対策のですね、法律や制度を作った場合に、その法律に基づいて、いまある、たとえば昨日策定されました香川県のゲーム規制条例などが、枠を、私は超えることになると思うんですが、そういう、法律の枠を超えた部分について、修正する必要が出てくると思うんですが、その点、法律的にはいかがでしょうか。お教えください。

 

●ほり審議官

日本国憲法第94条及び地方自治法第14条第1項の規定によりまして、地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて、地域における事務等に関して条例を制定することができるとされておるところでございます。

この条例が法令に違反するかどうかにつきましては、最高裁判例によれば、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによるものとされており、既存の条例が法令に違反することとなる場合には、法令が優先されるものと認識をしております。

国が法令を制定した場合に、仮に、条例が法令に違反することになれば、当該条例を制定した地方公共団体において、必要な修正等の対応を検討されることになるものと考えております。

 

●藤末健三議員

明確な解釈をありがとうございます。

したがいまして、やはり政府が主導してきちんとした法体系を作り、このゲーム依存症対策、ネット依存症対策をおこなえば、それに準じて条例も変えなきゃいけないというお答えをいただいたと思います。

したがいまして、私もこのゲーム依存症対策は喫緊の課題だと思っております。

しかしながら、今どうなってるかと申しますと、どこの役所が所管するかがですね、実は明確じゃございません。例えば政府の方々と相談しますと、私は厚生労働省かなと思ってお話すると、いや厚生労働省は医療の観点からしかできないんですとおっしゃる。じゃ青少年の育成本部かっていうと、いや我々は青少年育成であり、ゲーム全体は見れません。経済産業省はゲーム産業を所管するけれど、その利用までは見れません。じゃ教育はどうですかというと、文科省は子供達の教育しか見れませんという形で、ばらばらになって、誰が担当するのかよくわからないのが現状でございます。

ただ、これは非常に大きな問題でございますので、やはり私はですね、医療という観点から、やはり科学的な知見が重要でありますので、厚生労働省に全体をですね取りまとめていただきたいと思いますが、厚生労働省の見解をお聞かせください。

 

●はしもと障害保健福祉部長

いまご指摘のゲーム依存症でございますが、これは日常生活や社会生活に重大な影響を及ぼしうる疾患でございますし、また健康面にも影響しうることですから、この対策というのは大変重要なものというふうに考えております。

このため、ゲーム依存症の認識を高め、課題や対策などを共有し、また、ゲーム依存症対策の推進をはかる目的で、今年の2月でございますが、私ども厚生労働省が取りまとめ役となって関係省庁や関係機関等から構成されるゲーム依存症対策関係者連絡会議というものを開催させていただきました。

今後とも関係省庁との取組のフォローアップを含めながら関係省庁等と連携してゲーム依存症対策の推進に取り組みたいと考えております。

 

●藤末健三議員

ぜひですね、我々の強い要望から2月のですね連絡会議を開催していただきまして、やはり、この会議を開催していただいたからにはですね、きちんとこれからも厚生労働省が主となって各関係省庁と引っ張っていっていただきたいと思います。

ただ、あの私、厚生労働省にちょっとひとつ申し上げたいのは、いまあの連絡会議、うちの人間も参加させていただいたんですが、傍聴させていただきました。しかしながらですね、やはり医療関係者、ゲーム関係者の意見をもっと聞いていただいたほうがいいんではないかと。やはりこの、外で聞いていると、一部の有識者の意見にですね、非常に引きずられているんではないかというふうに思います。

何かというと、規制をすればいいというようなですね、論者の方々が大きな声を出している。

一方で、その「ゲーム依存からわが子を守る本」という書籍を書いてる花田先生、あと八木先生というお医者様がおられますけど、その方々はゲームの時間を規制するんではなく、親子関係や友人関係、そういう基本的な原因を断たなきゃいけないというですね、論調で研究を進められている方がおられますので、ぜひともですねそういう方々も含めて、議論もより多くの方の意見を集めていただきたいと思います。

また同時にこの、これ経済産業省にお聞きしたいんですけれど、ゲーム業界のほうもですね、いろんな取組をおこなっておられると聞いています。なかなかですね表で声を出されていないけれど、実際にゲーム業界の方にお会いすると、自分たちは自主的にこれだけのことをやってるということをおっしゃる。

で、まさしくですね、香川県の条例が動き出している中、またほかの市町村、また県、都道府県も同じようにですね、この条例の影響を受け、議論が始まりそうな中でですね、ぜひとも、ゲーム業界において、科学的見地に基づく調査研究などもまだ進めようとしておられるわけでございますんで、ぜひともこのような取組をですね、経済産業省、業界を所管する役所として進めていただきたいと思いますが、厚生労働省経済産業省の見解をお聞かせください。お願いします。

 

●はしもと障害保健福祉部長

さきほど申し上げました通り、今年の2月にこのゲーム依存症対策関係者連絡会議というものを開催したわけでございますが、この会議におきましては関係省庁はもちろんのことでございますが、複数の医療関係機関ですとか、あるいはゲーム関連業界団体なども構成委員としているところでございますし、またそれぞれ多くの方々にご発言をいただきました。

また、この連絡会議始まったばかりでございますので、今後とも機会をとらえて、広く有識者や関係機関からの意見を聴きながら依存症対策の推進をはかってまいりたいと考えております。

 

●おがさわら審議官

今ご答弁ありましたとおり、政府におきましても厚生労働省さんの取りまとめにおきまして、まずは実態調査が行われており、その後の調査結果を踏まえまして、どのような対策が必要なのか検討が進められていくものと認識しております。

ゲーム産業団体において、今ご指摘のとおり、統計学、あるいは医学、そういった有識者の方々による専門的な調査研究がおこなわれているというふうに承知をしております。

経済産業省といたしましては、必要に応じて業界団体の方々に対して、こうした知見の共有など厚生労働省を中心とした政府の調査、検討への協力ということを促してまいりたいというふうに考えております。

 

●藤末健三議員

ぜひですね、関係省庁が連携して急いで対策を立てていただきたいと思います。

やはりあの香川県のこの条例が基盤にしている、根拠にしている調査を見ますと、簡単なアンケート調査なんですよ。因果関係がはっきりしていない。そういうものをベースに今どんどんどんどん規制的なものが進んでいる中ですね、やはり政府が、科学的な根拠に基づき、本当に実効性ある、政策をですね、一緒に作らせていただきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

最後になりますが、パブコメの問題についてお聞きしたいと思います。

パブリックコメントにつきましては先程申しましたように、通常の半分の期間でおこない、そして結果も誰も見ることができないような状況になっている、というふうな結果になっておりますが、実際にこの、行政手続法で情報の開示というものにつきましては、地方自治体は対象に外れているという状況でございます。

ただ、行政手続法の第46条におきましては、地方公共団体においても、その行政手続法に準じてきちんと、パブコメ等のですね、対応をおこなわなきゃいけないというふうにですね、書いているわけでございますけど、その点につきまして、総務省の見解を教えてください。お願いします。

 

●よしかい政策立案総括審議官

パブリックコメントについてお尋ねがございました。

まず、行政手続法におきましては、政省令や審査基準などの命令等を定める過程等におきまして公正の確保と透明性の向上をはかり、もって国民の権利利益の保護に資するため、いわゆるパブリックコメント意見公募手続きでございますが、これを原則として義務付けているところでございます。

で、先生ご指摘のように地方公共団体がおこなうパブリックコメントにつきましては、地方自治への配慮の観点から、行政手続法第3条第3項において適用除外としております。

ただし、その適用除外となる部分につきましても、行政運営における公正の確保と透明性の向上の必要性は同様に当てはまるということでございますので、同法の第46条におきまして、法の規定の趣旨にのっとり、必要な措置を講ずるよう努めなければならないということとされております。

地方公共団体におけるパブリックコメント等につきましては、こうした行政手続法の規定をふまえて、各地方公共団体においてそれぞれの地域の実情等をふまえて適切な措置が講じられるべきものと考えております。

 

●藤末健三議員

本当に今日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

本日はこの、犬猫食の禁止、そしてゲーム依存症対策と二つのテーマを提言させていただきましたが、これはおそらく我々国会議員がですね、超党派で取り組むべきテーマだと思いますので、ぜひあの委員の皆様と協力させていただきながら、対策を取りたいと思います。

本日はお時間いただきまして、ありがとうございました。