2021年2月24日(水)小池百合子東京都知事「ネット・ゲーム依存対策として条例による時間制限は行わない」と答弁

京都の小池百合子知事が、「ネット・ゲーム依存対策として、条例による一律の時間制限などを行うことは考えていない」と東京都議会の答弁で発言しました。

首都・東京都の知事がこのような考えを明確に示したことは、今後、他の自治体に影響を与えることも十分あり得ます。

 

2021年(令和3年)2月24日(水)、東京都議会で都民ファーストの会・増子ひろき都議が代表質問をおこない、その中でゲーム依存対策について質問しました。それに対して小池知事が答弁しました。

 

質問と答弁の内容を以下に記載します。

まだ会議録がないので、取り急ぎ、藤井あきら都議のツイートから引用します。

https://twitter.com/fujiiakiratokyo/status/1364463557056688128?s=20

 ---(引用ここから)

Q(都民ファーストの会代表質問)

香川県のように条例で規制するのではなく、子どもたちにインターネットやゲーム等との正しい関わり方の検討を促し、子どもたちの自己管理能力を養成する取組が重要ですが、知事の見解を伺います。

 

A(小池都知事答弁)

ネット・ゲーム依存への対策として、都は冷静に情報を見極め都民に情報を提供していくことが必要と考えており、科学的根拠に基づかない内容で、条例による一律の時間制限などを行うことは考えていない。

インターネットやゲームの適正な利用について、啓発講座や相談窓口を設けて対応しており、子供や保護者の自主性を尊重し事業を推進していく。

---(引用ここまで) 

 

「ネット・ゲーム依存への対策として、都は冷静に情報を見極め都民に情報を提供していくことが必要と考えており、」

つまり、世の中にゲームを長時間するとゲーム依存になるなどという怪しい情報が出回っているが、怪しい情報に振り回されず情報を精査して、都民に情報を提供して不安を解消することが都の役割だという宣言です。これは頼もしいです。

 

「科学的根拠に基づかない内容で、条例による一律の時間制限などを行うことは考えていない。」

当然のことを言っていると思いますが、知事が明言したことは喜ばしいです。

 

「インターネットやゲームの適正な利用について、啓発講座や相談窓口を設けて対応しており、」

これはつまり、条例による規制もしないし何もしないというわけではなく、都では現に対応をおこなっていますよ、と説明しているのです。

そして「子供や保護者の自主性を尊重し事業を推進していく。」と、今後も都民の自主性を尊重するという考えのもとで取り組んでいく、と述べています。

 

今回の知事答弁について、「なぜ条例で規制しないのか、理由を言ってほしかった」というご意見を見かけましたが、私は理由は言わなくてもかまわないと考えています。なぜなら、現にネット・ゲーム依存への対策としておこなっている対応を説明していて、東京都の方針は明確であるからです。また、そもそもゲーム時間を条例で規制するほうが非常識なのであり、それをしないことの理由をわざわざ説明する必要は私は感じません。つまり、条例で一律の時間制限をしないことは当たり前だ、と考えています。

 

 

さて、去年は立憲民主党の西沢けいた都議、宮瀬英治都議が都議会本会議と総務委員会において、同様の質問をおこない、答弁がありました。

今回の答弁と比べてみましょう。

 

■2020年6月2日 都議会本会議 代表質問 西沢けいた都議

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2020-2/02.html#05

 ---(引用ここから)

 コロナによる外出自粛によって、家庭でゲームをして過ごす人もふえました。

 一方で、香川県では、この四月一日から、議員立法によって制定されたネット・ゲーム依存症対策条例が施行されました。ゲームは一日六十分まで、午後十時以降はゲームは禁止など、具体的な時間も定めたこの条例については、各所から批判が上がっています。香川県弁護士会は、五月二十五日に声明を発表し、制定理由にある児童生徒の成績が下がっているという根拠がない、子どもの権利条約に違反する可能性があるなど、条例の廃止を求めました。

 私は、こうした条例が全国に波及する可能性に不安を感じています。

 小池知事は、こうしたネット、ゲームへの規制についてどう思われるか、所感を伺うとともに、万々が一そのようなことはないと考えますが、東京都にこのような条例が必要と考えるか、見解を伺います。

 

小池知事 答弁

 条例は、それぞれの地域の実情に即して、各自治体の判断により制定をしているものと承知をいたしております。

 現在、スマートフォンなどの携帯端末所有の低年齢化に伴って、インターネットやSNSに関して、青少年が被害者となる事案やトラブルが増加をいたしております。

 都といたしまして、子供たち自身が当事者として、インターネットに関する意識を高めるための講座や家庭におけるルールづくりなどについて学ぶファミリeルール事業、インターネットのトラブル相談窓口であるこたエールの運営などを通じまして、青少年やその保護者等に寄り添った対応に努めているところでございます。

 ---(引用ここまで)

 

2020年6月2日に本会議代表質問で西沢けいた都議がゲーム規制条例を考えているか質問したところ、知事から明確な答えはありませんでしたが、啓発講座や相談窓口を設けて青少年や保護者への対応をしている、と説明がありました。この点については、今回2021年2月24日の答弁と同様のようです。

 

■2020年6月4日 都議会総務委員会 宮瀬英治都議(答弁:都民安全推進本部)

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/general-affairs/2020-08.html

 ---(引用ここから)

○宮瀬委員 ここまでお話しさせていただいたのも、さきの代表質問におきまして、我が会派の西沢けいた議員が、香川県でネット、ゲーム規制条例が制定されたことに関しまして質問させていただいています。万が一、そのようなことがないとは思いますが、知事の見解を問うたわけであります。東京都においてそういった規制があるのかないのか、検討しているのかどうかということで質問させていただきました。

 その中で、ご答弁を聞かせていただいたときに、明快なご答弁というものが、私にとってはちょっとわかりづらかったんですけれども、単刀直入に聞いてしまって恐縮ですが、都においてゲームを規制する考えというのはあるのかお伺いいたします。

 

○斎田治安対策担当部長 インターネットやスマートフォンを利用したゲームに関する規制のあり方につきましては、その時々の社会情勢によって判断されるものと認識しておりますが、当本部では、啓発講座や相談窓口などによる家庭に対する支援のほか、携帯キャリア会社等と連携した啓発事業を通じまして、インターネットの危険から子供を守る取り組みを行っております。

 

○宮瀬委員 ご答弁を注意深く聞いておりますと、啓発事業や相談窓口があるといったご答弁でありましたが、私どもの会派といたしましては、香川県のようなゲームの規制に対しましては反対であります。その旨で、その条例が東京都の方まで波及してしまうことに大変危惧を覚えておりまして、ないかどうか改めて確認をさせていただいたんですが、代表質問、そして今と。

 啓発事業と相談窓口事業が今の取り組みですといったことでありますので、改めて聞きますが、ゲーム規制条例の都での検討はないということでよろしいんでしょうか。

 

○斎田治安対策担当部長 現在、子供や保護者の自主性を尊重し、事業を推進しているところでございます。

 

○宮瀬委員 大変貴重な重い答弁ありがとうございます。つまり、子供や保護者の自主性を尊重するといったことは、自分たちでしっかりと自主的に自制するなり、尊重してやってほしいといった都のお気持ちを、しっかりと受けとめさせていただきました。

 ---(引用ここまで)

2020年6月4日に総務委員会で宮瀬英治都議がゲーム規制条例を考えていないかどうかを質問したところ、都民安全推進本部から、「子供や保護者の自主性を尊重」という言葉と、現在の取組を進めていくという答弁でした。これも今回2021年2月24日の答弁と同様のようです。